藍塔
寛永7 年に118 歳という驚異的な長寿で亡くなった徳本。
二度目の居住で、その晩年を過ごした諏訪郡東堀村(現・岡谷市長地地区)の尼堂墓地に現在も徳本の藍塔が残る。
墓地の中にひっそりと佇むその藍塔は、屋根の部分がボコボコに斫られている。その昔まだ衛生環境があまりよくなかった時代はイボなどの皮膚病が多く、徳本はこれらの疾患に全力を傾注して取り組んでいた。そんな徳本は没してなお「イボとりの神様」と呼ばれ、人々はイボなどの皮膚病を治すため徳本の藍塔を参詣し、藍塔の中に積まれた小石を掴んで、屋根を叩いた。叩くことで徳本の神通力を頼み、その小石を持ち帰っては、患部を撫でてお祈りすると、イボなどが治まったという。
そして、患部が治るとお礼参りに、小石を二つにしてお供えして戻した。墓石そのものを削って煎じて飲むこともあったらしい。